東雲(しののめ)です。
医学部6年間では非常に多くのことを学ぶのですが、皆さんはどのような教育がされているかご存知でしょうか?
医師になるにはそりゃあ膨大な量の勉強が求められまして、それを評価する試験もたくさんあります。
今回はその一端として、OSCE試験についてお話します。
駄文拙文悪しからず、何卒ご了承ください。
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医学部は6年間で膨大な数の試験を課せられます。
そして全て必修なので、1科目で落としたら留年してしまう‥というとても厳しい環境とされています。
試験の大半は筆記試験で、対策として講義のレジュメや入手した過去問を元に対策をしていき、必要に応じて教科書や参考書にも手を伸ばしていきます。
医学部の厳しい試験事情については、また後日ブログに書こうと思います。
さて、そんなの中でも特殊な試験がいくつかありまして、
その一つがOSCE(Objective Structured Clinical Examination)です。
これは医療職系(医師、看護師、薬剤師など)学生の臨床能力を評価するための試験で、
内容としては模擬患者相手のシミュレーション診察、手技・処置の実技などを扱います。
OSCEの最大の特徴は全国の医学部で行われる共通試験であり、大学によって評価に差がないように客観性が保たれています。
また、将来的に医療現場で働くに足る接遇も含めて問われます。
患者さんからすれば誰だって、愛想の悪い医師には診てもらいたいとは思わないでしょ。
こうしたことも試験として資質を問うてくる時代なのです。
ちなみにOSCEは現在、4年生版と6年生版の2回行われるのが通常のようです。
私が学生だった10年以上前は4年生版のみでした。
臨床実習に入る前(4年生)と後(6年生)で問われるものの質が異なります。
4年生版はいうなれば「お作法」を問うものです。
診察や手技の内容よりも患者さんへの配慮やコミュニケーションの良し悪しに重点を置かれているものです(もちろん、ちゃんとした診察・手技の内容もチェックはされますけどね)。
6年生版(正確にはポスト・クリニカルクラークシップOSCE)はこれに加えて、自ら考えて鑑別診断を挙げたり、指導医への報告を行ったりする要素が追加されます。
さすがに次の年から臨床研修医としてデビューするわけですからね、御用聞きみたいに患者さんの話を聞くのではなく、自ら考えて問診を取りに行く姿勢が求められるのです。
この試験対策としては、とにかく繰り返し練習するほかないです。
ですが、模擬患者相手のシミュレーション診察は、そもそも模擬患者がいないことにはどうしようもありません。
ちなみに、この模擬患者はちゃんとシナリオ通りに演じてくれるので、発言内容だけではなく表情や仕草まであたかも本当の患者さんみたいに振舞ってくれるのです。
その道が長い人だと、練習後に学生にフィードバックしてくれるので、貴重な経験値になります。
でも、学生同士の練習ではどうしても緊張感に欠けてしまいます。
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そこで、我々はこの練習会を行っております。
評価するのは私ならびに現役で臨床をやっている医師で、患者役は当県連の職員さんなどにお願いしています。
ちなみにシナリオは私が作成しています。
10年近く医師やっていると「患者像」というものを生成できるようになります。
巷で盛んな生成AIよりかは、より現実的な患者像を作ることができると自負してます。
今回は当県連の6年生奨学生であるN君の練習会を開きました。
N君は1年生からの奨学生なのでとても思い入れがある学生さんです。
くすのきクリニックの診察室の一つを活用し、N君と模擬患者役の職員のやりとりを別室で評価しました。
そうすることで、診察室には学生と模擬患者の二人だけになるので、妙な緊張感が生まれます。
なお、評価者は私と菊陽病院に精神科専攻医として在籍されている若山先生にお越しいただきました。
若山先生は2021年卒で、彼女もまた6年生OSCE経験者です。
画面越しのN君、さすが医学部6年生にもなると患者さんからの問診や身体診察はそれなりにできてしました。
けれど、12分間という制限時間内に患者さんの話を聞き、考えながら記録をとりながら、さらに自分から問診を詰めていく必要があるので、想像以上に負荷が大きい作業です。
見てて初々しさを感じますが、我々は評価者としてのアドバイスをきっちりいたしました。
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いかがでしょうか。
私、くすのきクリニック院長だけでなく、こうした次世代育成にもかかわっております。
今後もこうした話を、発信したいと思っています。
それと、この記事を見てくれた現役の医学生諸君。
当県連の奨学生活動やOSCE練習など興味があればぜひともご連絡をお待ちしております。
※関連サイト
熊本県民医連奨学金については https://www.miniren.jp/bursary
それでは、また。